民泊新法とは

2016年7月31日

民泊新法の沿革


そもそも、民泊サービスという言葉が出てきたのはここ数年の間です。Airbnbが多くの日本人に知られることにより個人で自宅等を貸し出しすることが容易に出来るということが発端です。しかし、宿泊料を貰って宿泊させることが、旅館業法違反になると今まで指摘されており、実際に逮捕者も続出しています。具体的には、無断で簡易宿所営業をしているということです。

旅館業法ですが、昭和23年に制定されています。戦後の混乱期です。今でこそ簡易宿所というと、ゲストハウスやカプセルホテル、シェアハウスなどの括りになってますが、戦後当時を考えると、寝床に困っている人や日本を復興させるために労働者を多数人で宿泊させるといった時代背景が伺えます。

ゲストハウスなど、ある程度の人数を収容することが出来る規模であれば簡易宿所でルールを定め、それに沿って運営していくことには、規制等とのバランスが取れています。しかし、Airbnbを介した民泊となると、自宅等かなり小規模な物件に対し、宿泊者も場合によっては1人ということもあるでしょう。この場合に簡易宿所許可となると非常に運営側の負担も重くバランスが悪いと言わざる終えません。今でこそ旅館業法施行令やその他関連の法規や規則、条例などが改正、制定され、民泊にも対応できるようになっています。また、東京オリンピックも控え、民泊の内需も高まってきている中、政府は、今後拡大するであろう民泊という新しいサービスに対応するため、時流に沿った法律(民泊新法)を新規に作ろうと動き始めました。民泊新法を制定するに当たって、民泊に関係する専門家を集めて検討会をしようということで、平成27年11月27日に第1回目の検討会が開催されました。この検討会は第13回に及び議論され、平成28年6月20日に、とうとう検討会の最終報告書が発表されました。下に厚生労働省が発表した検討会の最終報告書を添付しておきます。

「民泊サービス」のあり方に関する検討会最終報告書

 

民泊新法に向けての検討会の概要


■民泊新法に向けての討論会での論点

1、衛生管理面、テロ等悪用防止の観点から、宿泊者の把握を含む管理機能が確保され、安全性が確保されること。

2、地域住民とのトラブル防止、宿泊者とのトラブル防止に留意すべきこと。

3、観光立国を推進するため、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要や、空きキャパシティの有効活用等地域活性化などの要請に応えること。

以上の3点が民泊新法に向けての討論会の論点です。民泊需要と民泊で起こり得るトラブルについてバランスを取っていこうとしているのが分かります。次に制度の枠組みを整えるうえで基本的な考え方です。

 

■制度枠組みの基本的な考え方

「家主住居型」「家主不在方型」のふたつの考え方を区別したうえで、民泊を把握できる仕組みを構築する。

▽「家主住居型」とは、住居提供者が、住宅内に居住しながら、当該住宅の一部を利用者に利用させるものをいいます。

□住宅提供者は、行政庁への届出が必要

□住宅提供者への求め

・利用者名簿の作成・帳簿付け

・最低限の衛生管理措置

・簡易宿所営業並みの面積基準(宿泊者1人あたり3.3㎡以上)遵守

・利用者に対する注意事項の説明、住宅の見えやすい場所への標識掲示、苦情への対応、当該住宅についての法令・契約・管理規約違反の不存在確認等を求め、安全性・衛生面を確保し、匿名性を排除する。

・無登録の仲介事業者の利用の禁止の求め

 

▽「家主不在型」とは、住居提供者が当該住宅をそのまま利用者に利用させるものをいいます。

※家主不在型は、家主住居型に比べ、騒音、ゴミ出し等による近隣トラブルや施設悪用等の危険性が高まり、近隣住民からの苦情の申入れ先も不明確なため、それに則した制度が検討されています。

□住居提供者は、行政庁への届出が必要

□当該住宅の管理者の設置

・管理者に管理を委託もしくは住宅提供者自らが管理者になることを必要とし、適正な管理や安全面・衛生面を確保する。

・管理者は、行政庁への登録が必要

※その他の住宅提供者への求めについては、ほぼ家主住居型と同じです。

 

■民泊の位置付け

住宅を活用した民泊サービスの提供と位置付け、住宅を1日単位で利用者に利用させるもので、「一定の要件」の範囲内で、有償かつ反復継続するものとする。「一定の要件」を超えて実施されるものは、新たな制度枠組みの対象外であり、旅館業法に基づく営業許可が必要である。

□「一定の要件」としては、年間提供日数上限が半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する。

□住居専用地域でも実施可能とすべきである。(条例にて規制可)

現在の旅館業は、建築基準法の用途制限の規制があり、住居専用地域では旅館業をすることが出来ません。しかし、民泊新法に於いては、旅館業では禁止されている住居専用地域でも民泊を実施可能とすべきであるとされています。つまり、工業地域、工業専用地域以外の地域であれば、どこでも民泊を実施することが出来るという大きな規制緩和を意味します。